ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、主に皮膚や粘膜に感染するウイルスの一群です。HPVは200種類以上の異なるタイプがあり、その中でも一部は性行為を通じて感染します。
HPV感染は非常に一般的で、性的に活発な人の多くが一生のうちに一度は感染します。
多くの場合、HPV感染は無症状で自然に治癒しますが、一部のウイルスは以下のような健康問題を引き起こすことがあります。
- 尖圭コンジローマ(性器いぼ):主にHPV6型と11型が原因。
- 子宮頸がん:特にHPV16型と18型が関与し、その他のがん(肛門がん、口腔がんなど)も引き起こす可能性があります。
HPVは非常に一般的なウイルスであり、さまざまな健康問題を引き起こす可能性がありますが、HPVワクチンの接種により多くの感染とそれに関連する病気を予防することができます。
性行為を開始する前の若年層に対してワクチン接種を推奨し、定期的な検診も怠らないようにしましょう。
安全で効果的なHPVワクチンを活用し、自分のみならず大切なパートナーの健康を守りましょう。
HPVワクチンとは?
HPVワクチンは、特定のHPVタイプによる感染を予防するために開発されました。現在利用可能なHPVワクチンは以下の3種類です。
2価ワクチン(サーバリックス):HPV16型と18型に対する予防効果があります。
4価ワクチン(ガーダシル):HPV6型、11型、16型、18型をカバーします。
9価ワクチン(シルガード9):4価ワクチンの対象型に加え、HPV31型、33型、45型、52型、58型にも効果があります。
2024年5月時点で、女性には全てのワクチンが使用可能です。一方、男性にはガーダシルが使用可能です。
HPVワクチンの推奨年齢および投与スケジュール
HPVワクチンは、性行為を開始する前の若年層に対して特に推奨されます。多くの国では、以下のような接種スケジュールが推奨されています。
対象年齢:9歳から14歳の間に2回接種。
追加接種:15歳以上の場合は3回接種が推奨されることがあります。
ガーダシル:
年齢を問わず3回接種が推奨されています。
9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉注射します。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に接種します。
シルガード9:
9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉注射します。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種します。
9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができます。
HPVワクチンの副作用
HPVワクチンは、広範な臨床試験と実際の使用データにより、高い安全性が確認されています。副作用は一般的に軽度で、一時的なものであることが多いです。
主な副作用:
・接種部位の痛み、腫れ、赤み
・発熱
・頭痛、疲労感
重篤な副作用は非常に稀ですが、ワクチン接種後の体調変化には注意が必要です。