間質性膀胱炎
間質性膀胱炎とは、「膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い、頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛などの症状を呈する疾患」(間質性膀胱炎診療ガイドラインによる)とされています。一般的には、中高齢の女性に多い病気ですが、男性や小児にもみられることもあります。
原因は解明されておらず、膀胱粘膜の機能障害や免疫学的機序が想定されています。
確立した治療法が存在しないため、治療を抑える治療(対症療法)が中心になります。
過活動膀胱と診断され治療を受けたが、症状が改善しない患者さんの中の一部には間質性膀胱炎の患者さんが含まれている可能性があります。気になる方は、泌尿器科専門医の診察をおすすめします。
症状について
・おしっこが近い
・夜間何度もトイレに起きる
・膀胱の不快感
・おしっこが貯まると膀胱が痛む
これらが間質性膀胱炎の典型的な症状です。
膀胱の不快感や痛みは膀胱に尿がたまった時や冷えた時のほか、刺激物の摂取や精神的なストレスでも悪化することもあります。
検査の流れ
問診と尿検査を行います。
間質性膀胱炎が疑われる場合は、膀胱内視鏡検査を行い、間質性膀胱炎に見られる特有の膀胱粘膜病変の有無を確認します。
治療について
・行動療法
コーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、柑橘類、香辛料などが、間質性膀胱炎の症状を悪化させると言われています。ただし、個人差がありますので、全ての食べ物や飲物を控える必要はありません。
・内服治療
間質性膀胱炎に対して使用される代表的な飲み薬として、鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、漢方薬などがあります。いずれも間質性膀胱炎に対する特効薬ではありませんので、症状に併せて調節する必要があります。
・膀胱水圧拡張術+ハンナ病変焼灼術
診断および治療の目的で行われる治療です。奏効率は約50%,奏効期間は6カ月未満という報告が多いですが,1年以上の有効性も報告されています。腰椎麻酔または全身麻酔が必要であるため、一般的には入院で行われます。
・ジメチルスルホキシド(DMSO)膀胱内注入療法
ジメチルスルホキシド(DMSO)は炎症抑制、鎮痛、コラーゲンの分解、肥満細胞の脱顆粒などの作用がある薬物で、間質性膀胱炎の治療として使用されてきました。2021年4月に日本国内でも保険適応となり、治療可能となりました。