急性尿道炎
急性尿道炎は、性行為が原因で発症することが多い病気です。
近年は尿道だけではなく咽頭感染の併発が増えています。
代表的な原因菌は、淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマです。
これまでは、淋菌とクラミジアのみ保険で検査可能でしたが、2022年6月からマイコプラズマとトリコモナスも保険で検査可能となりました。
しかし、トリコモナスやマイコプラズマの検査は、淋菌及びクラミジアの検査が陰性であった方のみ、検査対象となります。
より正確な診断を行うことにより、適切な治療が可能になりました。
ご自身が淋菌やクラミジアに感染していることが判明した場合、大切なパートナーを守るためにも必ずパートナーに事実を伝えましょう。
女性の場合、淋菌やクラミジアに感染していても無症候のことがあり、放置すると不妊症や産道感染で赤ちゃんが肺炎になったりすることもあります。
症状について
<淋菌>
・尿道から多量の黄白色の膿がでる
・排尿時にペニスに激しい痛みがある
これらが淋菌による尿道炎の典型的な症状です。
精巣上体炎という感染症を合併することがあり、発熱や痛みを伴う陰囊の腫れといった症状がでることもあります。
<クラミジア>
・尿道から透明な膿がでる
・排尿時の軽い痛みや違和感
これらがクラミジア尿道炎の典型的な症状で、一般的に淋菌による尿道炎よりも症状が軽いです。
検査の流れ
尿や尿道分泌物を検査します。
淋菌とクラミジアの合併感染が疑われる場合は同時に調べます。
2022年から保険診療でマイコプラズマの検査も可能になりました。
淋菌とクラミジアの検査を行い陰性であった方で、薬物治療を行っても症状が残存する場合は、マイコプラズマの検査をおすすめします。
治療について
<淋菌>
淋菌の薬剤耐性化は進んでおり、内服薬で淋菌感染に対して治療効果が期待できる薬剤はありません。当クリニックでは、咽頭感染にも有効性があるセフトリアキソンの点滴治療を第一選択としています。
<クラミジア>
治療成功率が高いアジスロマイシンの内服を第一選択としています。
<その他>
最近はマイコプラズマやウレアプラズマによる尿道炎が増加しています。マイコプラズマはアジスロマイシンへの耐性化が進んでおり、シタフロキサシンの内服を第一選択とします。ウレアプラズマについては、ドキシサイクリンやミノサイクリンの内服を第一選択としています。
治療後について
<淋菌>
淋菌はセフトリアキソンの効果がほぼ100%ですので、症状が消失していれば、治癒の効果判定目的での検査は原則不要です。
<クラミジア>
クラミジアについてはアジスロマイシン内服で治癒率が100%ではないこと、また感染していても自覚症状がないこともふまえ、治療から2〜4週間後に検査を行い、治癒しているか確認する必要があります。
<その他>
マイコプラズマに関しては保険で検査が可能になりましたので、クラミジアと同じく治療から2〜4週間後に検査を行い、治癒しているか確認します。