難治性の過活動膀胱に対する新治療【膀胱内ボトックス治療】
対象
頻尿・尿漏れなどの症状が起こる過活動膀胱に対する治療で、生活習慣の指導や薬剤による治療などが行われて、それでも尿漏れが継続するなど効果不十分な男性および女性。
過活動膀胱の薬剤の口渇・便秘の副作用によって、内服継続が難しい方が対象になります。
方法
膀胱に局所麻酔をした状態で内視鏡を挿入して、注射針で膀胱の筋肉に20カ所に注射をします。実際の注射処置にかかる時間は約15分程度です。
痛みの予防のために、座薬タイプの鎮痛薬と、膀胱内に麻酔薬をいれて事前に局所麻酔を行います。場合によっては、静脈麻酔を併用することもあります。
院内の滞在時間は、術後の経過観察を含めて1~2時間程度が見込まれます。
日帰りでできるので、入院と比べて自己負担が少なくなります。
※注意:静脈麻酔を行った場合は、車を運転してご帰宅いただけません。
治療効果
効果は約3日であらわれ、6~9ヶ月程度持続します。個人差があります。
効果が弱まってきた場合は、前回の投与から3か月以上が経過していれば再投与が可能です。
国内の臨床試験では初回治療後、6週の時点で1日あたりの尿失禁回数が3.6回減少しています。
27%の方で尿失禁が完全になくなり、60%の方で尿失禁の回数が半分以下になる結果でした。
副作用
・肉眼的血尿(2%程度)
一時的に尿に血がまじることがあります。
通常は自然に止まりますが、ごくまれに止血の処置が必要になる場合があります。
・尿路感染(5%程度)
尿の出口から細菌が膀胱内に侵入することで生じます。
尿路感染により炎症が生じると、尿の濁り、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿などの症状が見られることがあります。予防的な抗生剤の投与で予防をして、発症時は抗生剤で治療を行います。
・残尿の増加、尿閉、排尿困難(5〜9%程度)
尿を全部出しきれず、膀胱内に尿がたまってしまう副作用です。
投与後は2週間以内に残尿量を測定し、その後は必要に応じて残尿量測定を定期的に行います。残尿量がある程度多くなった場合は、改善してくるまで自己導尿(カテーテルを尿道から入れて自分で膀胱にたまった尿を排出する方法)が必要になることがあります。
症状がおさまれば自己導尿は終了となります。
・薬剤のアレルギー(1%以下)
ごく稀に薬剤へのアレルギーが出る場合があります。