【男性】AGA
AGAは、正式名称「Androgenetic Alopecia」の頭文字をとったもので、男性型脱毛症と呼ばれます。
成人男性が発症する脱毛症で、徐々に薄毛や抜け毛が進行する疾患で、おでこの生え際か頭頂部、あるいはその両方の髪の毛が薄くなっていくのが特徴です。
AGAの原因としては、遺伝的な要因や男性ホルモンの代謝産物であるジヒドロテストステロン(DHT)とされています。
年齢を重ねるごとにAGAを発症する可能性が高くなり、日本皮膚科学会によれば、50代の約40%はAGAを発症しています。
40-50歳以上の中高年の患者さんは前立腺疾患をもっている可能性があります。AGA治療薬は前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値を低下させてします。健康診断や人間ドックでPSAを測定した際、AGA治療薬を内服しているとPSA値が低くでてしまうため、初期の前立腺がんが見逃される可能性がありますので注意が必要です。
治療について
AGAの原因とされるジヒドロテストステロン(DHT)を低下させる薬物(5α還元酵素阻害薬)の内服治療になります。
1. フィナステリド(内服薬)
作用機序:5α還元酵素(Ⅱ型)を阻害し、テストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されるのを防ぐことで、毛髪のミニチュア化を抑制します。
効果:脱毛の進行抑制に有効とされ、ガイドラインでも**「強く勧められる(推奨度A)」**治療法です。
副作用:性欲減退、勃起機能低下などの性機能に関する報告がありますが、頻度は少ないとされています。
妊孕性:妊活中の男性でも使用は可能ですが、精液中への移行は極めて少なく、基本的に問題ないとされています。
2. デュタステリド(内服薬)
作用機序:5α還元酵素のⅠ型とⅡ型の両方を阻害します。より広範囲なDHTの抑制が可能です。
効果:フィナステリドよりも若干効果が高いという報告もあり、**「強く勧められる(推奨度A)」**とされています。
副作用:フィナステリドと同様に性機能への影響が報告されていますが、頻度は大きく変わらないとされます。
妊孕性:フィナステリド同様、基本的には妊活中の使用も問題はないとされていますが、不安がある方はご相談ください。